末期がんを本人に告知すべきか否かの私の考えです。
最近はどのようなガンでも早期の発見なら治癒が可能と言われています。
しかし、私のように身体の異常から検査を受けると、その時には既に遅く、【末期がん】と診断される事が少なくないかと思います。
私は黄疸の症状から検査を受けました。
末期がんレベルのガンの進行になると治療法も限られ、ガンの進行から痛みがあれば痛みの緩和治療か、ガンの増殖を抑えるための投薬治療(抗がん剤治療)に限られ、場合によっては余命宣告を言い渡されることも多いと思います。
それだけ、末期がんになると深刻です。
告知をしてくれてガンと向き合うことが出来た
その末期がんの【告知】について、『自分だったら告知を望む』、『自分だったら告知は望まない』と今も賛否は分かれると思います。
これは私個人の考え、気持ちですが、【あの時、私にガンの告知をしてくれた事で、ガンと直接向き合う気持ちが出来た】と思っています。
ちなみに私は先生から「病名は肝臓がんです。」と妻と一緒に宣告されました。
「余命は半年くらいですか?」と聞きましたが、「これから詳しい検査をしないと何とも言えません。」と言われましたが、自分の体調の異変から、末期がんだと思っていました。
しかし私はガンの告知を受けたことで、
- 何でガンになってしまったのかの反省
- 治るために必要なことは?
など、告知からガンと向き合うことで末期がんを克服する事が出来ました。
もし、家族だけが末期がんという告知を受けていて、私には何も知らされていなければ私の苦い経験である、兄が胃がんの末期で亡くなってしまったように、ただただ病院の治療を受けるだけだったと思います。
そんな経験から私は、末期がんの告知については、【賛成】の一人です。
兄はガンの告知を受けること無く亡くなりました。
私の兄は私がガンの告知を受ける約5年前、胃がんの末期で亡くなってしまいました。
兄が入院していた時、当時の主治医から兄へのガンの告知はありませんでした。
私達家族は兄が亡くなるまで、ガンについて一切悟られないようにと気を使いました。
兄には胃がんではなく、持病の胃潰瘍という事で、話しをしていました。
しかし、兄に対して初めから治療方法が無いのであれば、あの時直接、主治医の口から兄にガンを告げて欲しかったと思います。
治療方法が無い兄は、ただ点滴を受けるだけの毎日にイライラしていました。
ある日、仕事の話しで兄のところへ行った時、兄から「これからどんな治療をするのか聞いてきてくれ。」と言われた事がありました。
私はその事を主治医に話すと主治医は、「弟さんからお兄さんへ胃がんだと言うことを告知してほしい。」と言われてしまいました。
『今さらそんな事、言えるはず無いじゃないか!』と強い憤りを感じました。
医者の発言は患者・家族に大きな影響を与える
私は、主治医から自分が肝臓がんの末期だと告知された事によって、身辺整理や心の準備、そしてガンと闘う心構えなどを持つ事が出来ました。
しかし兄は、全く告知されなかったので、訳が分からないまま、ただ治療という名目だけで病院の中で患者として縛られるだけでした。
医者の発言は、患者さんやそのご家族にとても大きな影響を与えるものだと思います。
まして、ガンの告知ともなれば尚更、影響があると思います。
ガンの告知を告げないと・・・
ガンの告知を患者本人に告げないとどうなるのでしょう。
患者本人を安心させる意味かも知れませんが、医者は本人の前では楽観的な事を言って、その後別室では家族のみが呼び出され、現実、そして悲観的な事を聞かされます。
しかも家族はそれを本人に気付かれないように毎日辛い思いをしながら日々を送る事になってしまうわけです。
実際、私が入退院を繰り返している中でも、家族だけが知らされていて本人には告知されていない方が何人もいました。
兄に対しては今でも悔やむことがあります
兄にガンの告知をしなかった事に対しては今でも悔やむ事があります。
兄だって、もしガンを告知されていれば、いろいろ身辺整理や自分なりに思い残した事をやるなど、沢山あったでしょうが、日に日に病状の悪化をたどる中で何一つすることは出来なかったと思います。
『ガンの告知』というのは家族、そして医療現場でも賛否が分かれる問題だと思います。
その当事者となった一人として思うことは、人それぞれ性格がありますから、統一はするべきでは無いと思いますが、私はガンを告知してもらって良かったと思っていますし、兄にもガンを告知してもらう方向で話しをするべきだったと思っています。
もし兄がガンの告知を受けていれば、私達家族ももっと兄に対して他の接し方があったのではないかと今でも悔やむことがあります。
患者本人が、告知を受けていれば、家族もまた患者と同じバランスの中で治療を受ける事が出来、またこれは本当に大切な意味を持つと思います。
患者自身はいろいろな治療方法がある中で、何を選択するかということは自分自身の身体を守るために必要な事だと思います。